KISS
「・・・何怒ってるのよ」


バス停でも黙りつづける巧相手に気まずくなり、声をかける。


「そっちこそ」


怒ったような巧の鋭い瞳があたしを見つめた。


耐えられなくて、目を逸らしてしまう。


溜息をひとつ落とした巧は再び口を開いた。


「朝ごはんのときから目もあわせてくれなかったのは笑じゃん」


言葉に詰まった。


確かに、視線から逃げていた。


最近、巧の顔をまともに見れない。


あたしが見てるだけならまだしも、巧と視線をあわせるなんて出来ない。


「なんか言えよ」


黙りこくっていると、あたしたちの目の前にバスが止まった。
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