KISS

本音が溢れ出す。


もう戻ることは出来ない。


「巧はあたしのこと家族みたいな幼なじみとして、優しくしてくれるんでしょう?・・・もうそういうのしてくれなくていい」


苦しいよ、


巧の優しさが、苦しい。


涙が、頬を伝った。


「あたしに関わらないで・・・」


そうしたら、きっとあたしは巧のことを忘れられるから。


だから、・・・


「・・・馬鹿えみ」


巧の声があたしの耳元に落ちてきた。


昔からあたしをほっとさせる、優しいトーンで。


「からまわった心配なんかすんなよ」


そう言って、あたしをその腕の中に閉じ込める。
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