KISS
数分後、正門前。
「そういうわけだから」
持ち上げられた巧の手とあたしの手は、固く結ばれていて。
「木之下とはヨリ戻せないわ」
木之下は唖然とした顔で立っている。
「えみ、行くぞ」
「う、うん」
左手はポケットの中、右手であたしの手を引っ張る巧の姿。
『えみが欲しい』
『・・・離さなくて、いいの?』
『むしろ離してって言ってもがんじがらめにして離さない』
ニヤリと口の端を吊り上げて笑う幼なじみの姿。
あたしのよく知る雪宮巧の姿。
ふってくる口づけは、あたしたちの関係の変化のシルシ。