KISS
「人が気にしてることを・・・」
イライラしながら玄関に向かうと、巧の姉・旭さんの姿。
「えみちゃん、毎日悪いわね」
困ったように笑う旭さんを見て、思わず言葉がこぼれた。
「たしかに、あたし太ってるかも・・・」
「は!?巧、んなこと言ったの!?」
旭さんが巧の部屋の方向を向いて思い切り舌打ちした。
「帰ってきたら殴っとくわ」
「旭さん・・・」
手の骨をばきばき鳴らしながら、旭さんが申し訳なさそうにごめんねー、と謝る。
でも、確かに旭さんや巧は体の線が細い。
・・・あたしが太って見えて当然かもしれない。
旭さんがじゃあね、と出ていった玄関には、旭さんと巧のお母さんの写真が飾ってあった。