KISS

「今はどんな部活にも入る気はないんです。ごめんなさい」


そう断ると、すごすごと引き下がっていった。


「バレー部、バスケ部、ソフトボール部・・・あとテニス部?」


先輩たちの後ろ姿を龍が見ている。


「えみちい、もったいないよっ!なんかひとつくらい入ったら?」


「せっかく運動神経だけはいいんだから」


「だけは余計だ、馬鹿龍!」


それまで黙って携帯に目を落としていた巧がようやく顔を上げた。


「まだ気にしてんのかよ」


ニヤニヤ笑いながらあたしに言う。


「・・・う」


言葉につまると、桜が訝しそうに巧に尋ねた。


「何を?」


「あ、お前らは中2から同じクラスだったっけ」
< 63 / 170 >

この作品をシェア

pagetop