KISS
「今はどんな部活にも入る気はないんです。ごめんなさい」
そう断ると、すごすごと引き下がっていった。
「バレー部、バスケ部、ソフトボール部・・・あとテニス部?」
先輩たちの後ろ姿を龍が見ている。
「えみちい、もったいないよっ!なんかひとつくらい入ったら?」
「せっかく運動神経だけはいいんだから」
「だけは余計だ、馬鹿龍!」
それまで黙って携帯に目を落としていた巧がようやく顔を上げた。
「まだ気にしてんのかよ」
ニヤニヤ笑いながらあたしに言う。
「・・・う」
言葉につまると、桜が訝しそうに巧に尋ねた。
「何を?」
「あ、お前らは中2から同じクラスだったっけ」