KISS
「なるほど、えみちいさすが♪」
笑いのおさまった桜があたしを褒める。
・・・褒められた気は、もちろん全くしない。
「勇者だな、お前」
龍はいつものポーカーフェイスを保っているつもりなんだろうが、笑いすぎて涙が出ている。
「龍・・・笑いすぎなんですけど」
「気のせいだ」
はあ、とため息をつき、そういえばとついでに思い出した。
「あたし小学生のころテニススクールに行ってたんだよね」
懐かしい。
想い出を振りかえりながら、あるふたりを思い出す。
「そうそう、男の子と女の子の双子で強い子がいたなあ」
いつもあたしと巧はテニススクールでその子たちとプレーしていた。