KISS
「えみちい、早く行こ♪」
ようやく待ちに待った放課後になり、桜があたしを急かす。
「雪宮と月島ー」
・・・こういうときに限って担任からの呼び出し。
「巧、何やらかしたの」
巻き添えじゃん、と巧を横目で睨むと、巧は怪訝な顔をした。
「何もしてねーよ」
語尾に「多分」と付け加えたのを聞き逃さなかった。
あたしは軽く舌打ちして、教室を出ていく担任についていく。
「転入生が来るんだけどな〜」
歩きながら担任が説明を始めた。
「お前らの知り合いらしい。色々世話してやれ」
着いた先は校長室。
「・・・そんな知り合いいたっけ」
小声で巧に聞かれる。
あたしだって聞きたいくらいだ。
知り合いって誰・・・?
そんな思いを余所に、担任がノックして校長室にはいっていく。