KISS
「久しぶり、えみ。巧も」


「久しぶりっ」


海くんがふっと笑ってあたしを見つめる。


「全然変わってないですね、えみは」


「そういう海くんこそ」


海くんは小学生のときに通っていたテニススクールで一緒だった人。


同じ歳なのにすごく落ち着いていて、お兄ちゃんみたいな存在で。


テニスもすっごい強かったから、あたしは憧れていた。


そういえば昔はよく巧は海くんと喧嘩してたっけ。


・・・なんて思い出していたら、急に後ろからぐいっと引っ張られた。


「近すぎ」


巧があたしににっこり笑う。


あ、やばい・・・怒ってる?


「そういうとこ相変わらずですね」


海くんが巧に笑いかけた。
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