KISS

凍り付いたかのような場の雰囲気を変えるためにも、どうにかしなきゃ・・・

そう思うのに、上手く話を変えられない。


「んじゃ」


巧はそのまま校長室から出ていことした。


「ちょっ待ってよ・・・ってそういえば海くん、ひとりなの?」


疑問に思ったこと。


海くん、ひとりだけ?


「あいつも来てますよ」


海くんがちょうどそう答えた瞬間だった。


「すみません、長引いちゃって」


キャラメル色の長い髪をふたつに束ねた華奢な体つきの女の子が校長室に入ってきた。


「あれっ」


ふわりとあたしの横をすり抜け、むかった先は。


「巧!」


愛しそうにそう呼んで、巧に抱き着いた。
< 73 / 170 >

この作品をシェア

pagetop