KISS
言えない想い
翌日、朝のホームルームにて。
「栗原海です」
女子の色めき立つ声。
・・・海くん、かっこいいもんね;
「うわー栗原ってあの栗原?」
テニス部の子たちはすごい、と大騒ぎしている。
「あれがこの前話してた双子?」
「うん・・・」
へえ、と興味深そうに桜が海くんを見つめる。
「普通にカッコイイじゃん」
「テニス強いよ。めっちゃ強くて、あたし憧れてた」
そう言うと桜は首を傾げた。
「今のセリフ、雪宮くんが聞いたらキレそう」
・・・巧、ね。
ななめ前の背中を見つめる。
いつもは朝のホームルームなんか起きてもいないくせに、今日は起きてるどころかしっかり海くんを睨んでいた。