KISS
振り返ると、さっきとは違って優しい笑みを浮かべる巧がいた。
「な、んで・・・」
「笑は俺が好きじゃない奴と俺が、付き合ってもいいの?」
・・・いや、そういう意味でなく。
「俺には手のかかる幼なじみがいるからね」
「・・・手がかかるのは巧サンでしょ」
「まあね。つーか彼女作ったら笑起こしに来てくれないし」
当たり前だ。
一度、巧に彼女が出来たことがある。
去年、中3のとき。
そのときあたしは、巧を起こしにいかなくなった。
当然のこと。
・・・まあ、その彼女とは2ヶ月ももたなかった。
そうこうしているうちに学校の正門前。
「じゃあね」
あたしは巧より先に歩きだす。
何故なら。