KISS
一度離された唇が、またあたしの口内を荒らす。
それと一緒にあたしの気持ちも荒らされていく。
「ん・・・っ」
「えみ」
んな顔すんな、と巧が苦笑した。
「連れ去りたくなる」
「・・・連れ去ってもいいよ」
「馬鹿」
そう言って巧は優しく笑った。
「そんなこと簡単に言うなよ」
ホントに連れ去りたくなる。
巧の声が耳元で聞こえた。
「・・・言えないだろ、んな簡単に」
そっと触れる巧の手から伝わる熱さ。
・・・震えてる?
「悪かったな、俺だって緊張すんだよ」
お前相手だと、感情のセーブが効かなくなる−・・・
掠れた声で呟いて、あたしを抱きすくめた。