KISS
巧に抱きしめられると何だかひどく落ち着く。
淋しさも不安も、全部忘れられる。
「・・・セーブしてんだ?これでも」
照れ隠しに皮肉ると巧は笑っているらしい声で言った。
「お前、男子高生の性欲なめんなよ」
「そんな質問誰もしてないし」
巧があたしの首にキスを落とす。
「何なら証明してやろーか?」
・・・・・・・・・・証明?
証明・・・・・・って!
思いついたのと同時に顔がほてっつくるのが分かった。
「お子様」
鼻で巧が笑う。
「・・・ウルサイ」
言い返してから、ふと考える。
巧は誰かと、そういう行為をしたことがあるのかな・・・?
「巧とえみ・・・?」
授業中、誰もいないはずの廊下で、あたしたちを呼ぶ声がした。