夏の君を
あいにくの雨。

部員達は廊下や階段、あらゆるところでトレーニングをする。



雨の日も、あたしはボーっと練習風景を見る。



夏の雨だけあって少し気持ち悪い。


「柳井、先生今から職員会なんだ。悪いけどこのメニュー終わったら部員に帰るように言っておいてくれ。ついでに風邪ひくなってな。」



浅倉先生はデカい身体を揺らしながら、職員室がある本館に消えていった。



「あちーっ!」


「今日まじ暑いな!」


「やっと終わったー!」


腕立て、腹筋、背筋をそれぞれ50回を5セットした部員の汗は本当に滝のごとく流れ落ちている。



「秋吉くん、お疲れ様。練習上がっていいって浅倉先生が言ってたよ。あとみんなに風邪ひかないようにいってね。」


「了解!サンキューな。おーいみんな!練習上がりっ!帰りに風邪ひくんじゃねぇぞ!」




秋吉くんの大きな声に部員は元気よく返事し、みんな部室に向かった。



「アカリ、いつもんとこで待ってて。」



すごい汗の恭弥は、あたしにそう伝えると何か言いそうな表情。


「ん?どうした?」



「あ…いや、何でもない。じゃああとでな!」




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