夏の君を
「秋吉くん、起きて」



「ん…」




ん…って!
すごく気持ち良さそうに眠っている秋吉くんの表情から、遠征がキツかったことを物語る。



「…秋吉くん」



「黙れ」



普段の温厚な秋吉くんとは打って変わって恐怖を覚えた。


だけどあたしは何故か腹が立ち、


「秋吉っ!」



気が付くと部員達がバスを覗き込んでいた。



やばい…恥ずかしい。


でも秋吉くんはまだ起きない。



「いい加減起きろっ!大地っ!」



すると秋吉くんはビクッと起きて、


「母ちゃん?」


と、あたりを見回しはじめた。



そしてあたしを見つけた秋吉くんはまたビクッとした。


「え…今のって…アカリちゃん?」


「そうだよ。」
< 37 / 54 >

この作品をシェア

pagetop