夏の君を

｢見てたよ！さっき、荒木に告られてたじゃん！｣


このこのーと、肘でツンツンしてくる仕草、たぶん初美だから許せるのだろう。

｢あーあれは挨拶じゃない？｣


｢嘘だー!荒木絶対アカリのこと好きだもん！｣


｢なんで？｣



｢それは…｣


うつむき、黙り込んでしまった初美。


か、かわいい。



｢ごめん初美。｣


｢いいよ！それより来週だね。地区予選｣


切り替え早っ


｢そうだね。｣



｢あたしも一生懸命応援しなくちゃ。｣



｢あたしも頑張る！｣



いつだってギリギリ。


キーンコーンカーンコン


バタバタと音を立てて入ってきたのは恭弥と荒木くんと控え選手の五十嵐くん。

｢間に合ったー!うっし。｣

三人で仲良くガッツポーズ。

｢須永(恭弥)!荒木!五十嵐!お前らもっとゆとり持って行動しろ！｣



響く先生の声。


｢ふふっいつもギリギリだねあの三人。アカリ、ショート始まるから席着くね。｣


｢うん。またあとでね。｣