『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「そろそろ、俺…寝るけど……」
「じゃあ、私も寝ます」
「……」
はぁ……どうすりゃいいんだ?
彼女は机の上を片付け、俺に笑顔を向けている。
一体、何を考えているんだ?……この子。
今から寝るというのに、何故……笑顔?
ますます……分からない。
すると―――――、
「どうぞ?」
そう言った彼女は両手をベッドの方へかざしている。
―――――えっ!?
俺に先に入れと……!?
「あっ……いや…葵が先に…」
「いえ、私はこちら側に寝ますので…」
「は?」
彼女は小悪魔の笑みを浮かべ、俺を奥へと促している。
“さぁさぁ~”と言わんばかりに…。
はぁ………なんでこうなるんだ?
俺は仕方なく、促されるままに…
「失礼します…」
遠慮がちにベッドに潜り込んだ。