『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「旨そうだな」
「えっ?」
「今日は何?」
「え?」
「献立」
「あっ……生姜焼きです」
「おっ、旨そう」
突然、耳元で囁かれ…胸がドキンッと高鳴った。
……何?……今の……??
声のした方へゆっくり振り返ると、
すぐ後ろに潤くんが……。
「紐が解けかかってる」
そう呟きながらエプロンの紐を結び直してくれた。
「あっ、ありがとう//////」
何てこと無い……ハズ。
ただ、エプロンの紐を結んでくれただけ。
ただ……それだけよ……。
「じゃあ、俺…部屋で勉強してるから」
「はい//////////」
潤くんが軽く肩をポンと叩いてキッチンを出て行った。
彼が触れた肩と腰が熱くて……
胸が……重く……息苦しい……。
――――えっ?……何??
彼が立ち去った後もその余韻が中々消えず、
胸の鼓動が暫く鳴り止みそうに……。