『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


 ≪潤side≫


葵さんを葵と呼ぶようになって数時間後。

俺は今、自分が置かれている状況がイマイチ呑み込めていない。

自宅に帰って、食事をしたまでは良かったんだが…。


何故、俺は今…ベッドの中で硬直しているんだろうか?


しかも、隣りでスヤスヤ寝ていた彼女が、

俺の身体に足を絡めて…

上半身を腕でがっちりホールドされて…。



カチカチカチカチッ……


時計の秒針がシーンと静まり返る部屋に鳴り響く。


1時間程経っただろうか?

彼女が寝返りをして漸く身体が解放された。


無理やり引き離す事も出来たが、

急に目が覚めた時に、俺が襲っていると勘違いされても困るし。

結局、敢えて動かず、彼女が自然と離れるまで…

と、極限まで追い詰められた理性と必死に闘っていたワケ。



はぁぁぁあぁぁ~~~~。



身体が痛い。

足が痺れてるし、首が攣りそうだ。

緊張のあまり、変な所に力が入っていたようだな。


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