『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「なっ……何を言ってるんですか?」
「まぁ、拷問かもしれないけど、頑張って」
「………」
頑張ってって……そりゃ無茶だろ。
1日ならともかく、毎日って……。
「姉貴に止めさせるように言ってくれませんかね?」
「無理でしょ。それはキミが1番良く知ってると思うけど?」
「はぁ……まぁ…確かに…」
やっぱりムリか……。
姉貴の頭はどうかしてるしなぁ。
普通の人と同じ脳の働きをしてないから、
話が通じる事の方が珍しい。
それに頑固なのは母親譲りで、
1度決めた事は何があっても突き通す。
はぁ……前途多難だな。
真剣な表情で仕事をしている弥生さんの邪魔は出来ない。
仕方ない、ジョギングでもするか?
俺は邪心を払拭するかのように、
早朝の澄んだ空気の中…街中を一心不乱に走った。