『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
40分程走り、自宅へ帰ると…
彼女が朝食の準備をしていた。
彼女の料理は凝ったものでは無いが、
意外と俺の口に良く合う。
シャワーを浴び、朝食を戴いて大学へ。
昼過ぎに姉貴からメールが届いた。
今日の代行アルバイトがキャンセルになった…と。
何でも、依頼人の体調不良らしい。
時間も空いた事だし、
自宅に帰って勉強でもするか。
俺は教授の部屋を片付けてから、
書店を数軒廻って……自宅へと。
リビングのドアを開けると、
既にキッチンで調理し始めている彼女。
俺は慌てて彼女の元へ…。
「葵、ごめん!!俺の分も!!」
「へ?」
突然の俺の言葉に驚いて振り返った。
「潤くん!!ど、どうしたの!?バイトは?」
彼女は目を丸くして俺を見ている。
……ムリも無い。
今朝、“遅くなる”と伝えたんだから。