『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
≪潤 side≫
俺は大学の授業を終え、自宅に帰ると―――。
「潤、おかえり」
「あぁ、ただいま。腹減った、何かある?」
「カレーでいい?」
「あぁ。風呂入って来る」
俺はリビングを通り、浴室へ向かった。
両親は海外にいて、今は姉貴と2人暮らし。
姉貴は“恋人代行”と言う副業をしているが、歴とした“漫画家”である。
―――と言うのも、漫画のネタ探しに“恋人代行”をしている。
色々な人と触れ合い、切実な悩みを聞いたり。
情報を収集するのに打って付けってワケ。
ある日、『潤もやってみない?』と誘われ…小遣い稼ぎに始めた。
これが結構面白くて、結構ハマってる。
つーか、女ってすげぇチョロい。
甘い顔して、優しい声を掛ければ大概の女はコロッと落ちる。
それに“代行”って言うくらいだから、フリをしてるだけで“金”が降ってくる。
契約完了後に本気になる奴もいるが、俺は決して本気にはならない。
所詮、女は金を釣る為のエサ。
俺はこのバイトを楽しんでいた。