『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「ちょっと、待ちな」
「ウォェッ……な、何するんだよ!?」
いきなり俺のパーカーのフードを引っ張りやがった。
慌てて振り返り睨み付けると、
「潤、楓様を無視するっていい度胸してんねぇ」
「はぁ?つーか、いい加減…手、離せよ」
冷笑しながら仁王立ちの姉貴。
ヤバい……既にスイッチ入ってんな。
姉貴がフードから手を離し、
俺は着崩れた衣服を手直しした。
「で、何か用?」
「今週末、ヒマ?」
「は?……週末?……ん、何も入ってねぇけど」
「OK!!じゃあ、仕事入れとくから空けといて」
「んー。週末って土曜?日曜?」
「両方」
「両方?」
「そう、みっちり働いて貰うから!!」
何だか姉貴の語気が熱い気がするのは気のせいか?
「まぁ、いいけど……バイト代弾んでくれよ?」
「了解!!了解!!No problem!」
何だか意味ありげに笑顔を向けられると、
条件反射で身構えてしまうのは悲しい性だな。