『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
姉貴は如何にも当たり前…みたいな顏してるけど、
“写真”は代行業じゃタブーだろ。
『証拠は残さず、記憶に残す』
……じゃ無かったっけ?
ん??……あっ!!
もしかして、思い出に風景を撮るとか?
ん~、それなら理解出来る。
姉貴は仕事用の眼鏡を掛けて…
「詳しい事はそのファイルに纏めたから、ちゃんと目を通しておきな?」
「あー、分かった」
姉貴が仕事机に向かったのを機に
俺はテーブルの上の一式を持って自室へ向かった。
部屋に着くと、机の上に1枚のメモが。
『お先にすみません』
葵はお風呂に入りに行ったようだ。
彼女と一緒に生活するようになって、
少しずつ慣れては来たが、
やっぱり寝る時も一緒というのはさすがに困る。
唯一、救いなのは彼女が“眠りにつくのが早い”事と
“1度寝たら朝まで起きない”という事だけ。
俺は病院での実習期間で慣らされたせいか、結構眠りが浅い。
だから毎日、彼女より早くに起きて、
気分転換にジョギングするようになった。