『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「代わりに行って貰いたいの!!」
「え?えぇっ!?私がですか?」
「シッ!!声が大きい」
「へ?」
「取材だって言っても、旅館や食事の風景を撮って、楽しんでくれればいいのよ」
「はぁ~~」
「葵ちゃん1人じゃ、男風呂入れないでしょ?」
「そ、そうですね…」
「だから、潤と行って貰える?ね!?お願い!!」
「えぇ~~っ!?こ、困りますよ…そんな急に…。それに潤くんとだなんて…」
「そんな事言わないで…ね?ただ、楽しんで写真を撮ってくれればいいから!!」
「えっ……でも……」
「あっ、でもね?潤、“取材”嫌いなのよ」
「えっ?それじゃあ、ムリじゃないですか」
「う~ん、だけど、葵ちゃんが楽しんでくれれば我慢すると思うし…」
「それはいくら何でも…」
「大丈夫だって!!あぁ見えて、結構優しいのよ?あの子」
「……それは分かりますけど…」
楓さんは無理難題を押し付けて来た。
私に取材だなんてムリに決まってる。
どうやったら断れるのかなぁ?