『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
夕食を食べ終えると、珍しく姉貴が頼み事をして来た。
「潤、お願い!お姉ちゃんの大事な親友の妹なの。協力して?」
姉貴の親友は、良くこの家に来る。
姉貴の漫画を扱ってる出版社の人らしく。
大学時代からの友人。
俺も何度か見たことがあるが、結構な美人だ。
その人の妹だろ……?
妹も結構……美人だったりするのか?
けど、知り合いからの依頼は受けないんじゃなかったっけ?
「知り合いからの依頼は受けねぇんじゃねぇの?」
「それはそうなんだけど、弥生は特別。ね?お願~い!!ギャラは全部お姉ちゃんが払うから。ね??」
「マジで?絶対だからな?ったく、仕方ねぇなぁ。ちゃんと払えよ?」
「うん、払う払うって!ありがと、恩に着るよ」
①知り合いからの依頼は受けない
②代行に掛かる費用は全て依頼者持ち
③契約(予定)に無い突発な事態は追加料金を課す
④代行者のプライベートは干渉しない
⑤決して本気にならない
これが“恋人代行”の五か条である。