『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「潤さぁ、試験前でピリピリしてるし…日頃の疲れも癒せると思って!!ね?私と潤の為にも…ね?」
「う~ん……」
潤くんの為と言われたら断れないよ。
毎日、迷惑を掛けっぱなしだし。
仕方ないなぁ……。
「分かりました……頑張ってみます…」
「ホント!?じゃあ、取材の内容はそのファイルに記載してあるから」
ファイルの表紙を捲ると…
………えっ?
えぇぇっ!?
「か、楓さん!!これ……」
「ん?」
「何ですか?この“恋人お忍び旅行”って」
「あぁ~それね?今回の取材のコンセプト」
……コンセプトって、簡単に…。
“お忍び旅行”って……何?
それも……恋人?!
「潤くんはこの事、知ってるんですか?」
「まだ、温泉旅行に行く事は話すけど、取材の事は伏せるよ」
「だ、大丈夫でしょうか…?」
「何とかなるでしょ」
「………」
何とかなるって……それはないでしょ。
取材嫌いだから、取材の事は伏せて…
日頃の疲れを癒すのに温泉旅行。
けど、そこから先……
どうやって恋人気分になるの?!