『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「本当に行かないとダメなんですか?」
「ダメ!!他に行ける人いないもん」
「いないもんって言われても…」
「大丈夫だって。葵ちゃんが、楽しんでれば1泊なんてあっという間だよ」
「そうでしょうか……?」
どうしよう……。
恋人の設定で温泉旅行の取材。
しかも、潤くんと。
はぁ~。
「じゃあ、潤にも話すから宜しくね?」
「えぇ~……」
何やら、楓さんは携帯で宿泊先の旅館に電話している。
私と潤くんが行く事になったと……。
あぁ……もう、どうしよう。
電話を切った楓さんが、
「とりあえず、1泊する用意だけは宜しくね?」
笑顔で私の手を握る。
「………は…い…」
結局、断り切れずに…
潤くんと“恋人”という設定で
温泉旅行の取材に行く事になってしまった。