『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
片道2時間半の車内は、
お互い大学生という事もあり
大学の話で盛り上がった。
潤くんは外科医を目指しているらしく、
仲の良い先輩のアドバイスで
今時期から外科医の教授の下で
勉強をさせて貰っているらしい。
だから、いつも研究室にいるワケだぁ。
きちんと将来を見据えてるなんて凄い。
私なんてまだ実習先すら決めてないのに。
「葵は英語の教師志望かぁ…」
「なれたらいいんだけどね…」
「なれるだろ」
「どうして分かるの?」
「机の上のレポート、結構良かったし」
「えっ?もしかして、アレ読んだの?」
「読んだっつうか、目に入ったから」
「………////////」
恥かしい……。
あんな、実習用課題のレポートを…。
あぁ、何で置きっぱなしにしちゃったんだろ。
「じ、潤くんって英語も出来るんだ」
「馬鹿にしてんの?医者志望だぞ?」
「あっ……」
「フッ…まぁ、いいけど…」
あぁ~やっちゃったよ…。
私ってホント馬鹿。
だけど、笑って許してくれたから大丈夫だよね?
その後も車内は他愛ない話で盛り上がった。