『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「葵、そこの石の前に立って?」
「えっ?」
指差された先には手水鉢と大きな苔石。
……風情がある。
苔石と手水鉢そして周りの木々を背に
―――――――カシャッ。
画像を確認してる潤くん。
今しかない!!
今、言わなきゃ!!
深呼吸して……
「潤くん!!」
「ん?」
潤くんがファインダー越しに返事をする。
「い………いっ、一緒に撮ろう?」
「えっ?今、何て?」
カメラ片手に訊き返して来た。
「せっかく、2人で来たんだし…想い出にどう?想い出……あっ!!そうだよ!!2人で超~ラブラブ写真撮ってアイツに見せびらかそうよ!!」
「アイツ?」
「うん、アイツ!!」
「ストーカー男?」
「そう、亘に見せれば撃沈するって」
「……そうだな。その手もアリだな」
ふぅ~、この手があったじゃない。
自宅まで来なくなったけど、
まだ大学ではチョロチョロしてるし。
二葉に協力して貰って見せびらかそう。
…うん…そうしよう。