『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


 ≪潤side≫


金曜の夜、就寝前。


「葵……明日の事なんだけど…」

「うん、楓さんから聞いてるよ」

「姉貴から何て?」

「えっ?………温泉に行く予定が急な仕事で行けなくなったって」

「……へぇ~」


姉貴、彼女にそんな風に話したんだ。

マジで怖ぇ~。

悪知恵っつうか、策略っつうか。

まぁ、温泉に行く事自体は納得してるんだからとりあえずはひと安心。

後はどうやって“恋人”を演出するかだよな。


ったく、姉貴の奴。

ゼッテェ、俺を苛めて面白がってるし。

はぁ~、マジでどうすっかなぁ…。



相変わらず、ベッドへ入るとすぐに寝る葵。

俺はそんな彼女の寝顔を見ながら思考を巡らす。




翌日の昼前―――――。


「潤、いくら葵ちゃんが可愛いからって、酒の勢いで襲うんじゃないよ?」

「分かってるって!!俺は野獣じゃねぇよ!!」

「じゃあ、気を付けて」

「んー」



俺は彼女を車に乗せ、旅館へと車を走らせた。




旅館へ到着すると、

姉貴のファイルに記載してあった“別館”とやらに…。


!!!???


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