『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
まぁ、元々姉貴は金目当てで始めた訳じゃない。
どちらかと言えばボランティアに近い。
漫画も結構売れてて、金には困ってない。
そんな姉貴が全額払うと言ってるんだ。
俺にとっても不都合はねぇし。
結局、依頼を受けることにした。
その後姉貴から、依頼に至った経緯やターゲットの男の悪行を聞いた。
まぁ、今どきの若い男連中に良くいるタイプ。
女をとっかえひっかえしてるヤツ。
俺から見ても…まぁ、最低な部類だわな。
それに“大学一のイケメン”らしい。
そりゃ、女を弄ぶのは簡単ってワケか。
姉貴の親友の妹って言うのが、どうも…男にあまり免疫が無いらしく。
気付いた時には既に遅かったってワケ。
まぁ、あまり深い傷になる前に知れて良かったんじゃないか?
俺も人の事はあまり言えないが。
姉貴に渡されたメモには…
カフェの名前と“黒いワンピースを着た可愛い子”とだけ書かれていた。