『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
って、コレって“別館”じゃなくて
“離れ”なんじゃねぇの?!
おい、どうなってんだ?
葵は数寄屋造りが初めてらしく放心状態。
俺はその隙に女将を連れて部屋の奥へ。
んッ!?………へ?
「あの、ここって…もしかして寝室?」
「はい、さようでございます。ゆったりとした雰囲気に…」
俺は頭の中が真っ白に…。
「……にしてございます」
女将の説明も聞いてられねぇ。
目の前の光景に言葉が出ない。
寝室と呼ばれる部屋は、
畳みこそ敷かれているが、
和風モダンに造られている。
布団ではなく、キングサイズのローベッド。
間接照明がベッドサイドを照らすようになっている。
………へ?
何でこの数寄屋造りの建物にこの部屋?
ありえねぇ……マジでありえねぇ。
普通は布団だろ?
大きい小さいの文句は言わねぇ。
1人一組の布団を用意してくれるだけでいいのに。
久々にゆっくり寝れると思ったのに。