『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


女将が夕食の時間を訊いてくるが

そんな事はどうでもいい。


はぁ~~先行き不安で堪らない。

これもきっと姉貴の仕業なんだよ。

分かってて俺に遣らせてる。

悪魔め……。


葵の元へ戻り、女将たちが帰った後、

お茶を飲みながら考える。


さて、どうやって…

“恋人”の雰囲気を出させるか?


1つ目の依頼を実行する為に

彼女を誘って日本庭園へ。


俺の後ろを歩いてる彼女。

余程庭園が気に入ったのか、無言で歩き続ける。


写真でも撮ってれば…

そのうち良い案が浮かぶか?



丁度いい所に手水鉢と大きな苔石があった。

苔石の若草色と葵のクリーム色のワンピースが

淡く溶け合って綺麗な写真になると思った。


彼女を石の前に立たせ、シャッターを切る。

俺の予想通り、彼女を綺麗に撮る事が出来た。

俺が画像の確認をしていると、


「せっかく、2人で来たんだし…想い出にどう?想い出……あっ!!そうだよ!!2人で超~ラブラブ写真撮ってアイツに見せびらかそうよ!!」

「アイツ?」

「うん、アイツ!!」


彼女は少し興奮気味に。


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