『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
風呂から上がり、約束通り浴衣を着て
「葵、月見酒にしよう」
「あっ、はぁ~~い」
彼女はテレビを消して内庭へとやって来た。
初夏の月見は贅沢だな。
苔ずむ庭に茂る木々
水面を照らす月明かり
そして
俺の理性を奪う
浴衣美人
俺は葵のお酌でつい笑顔に。
「美味しい?」
「葵は飲まないのか?」
「ん~私、お酒弱いから」
そう言えば、そうだった。
彼女の依頼を受けて初めての実行日。
彼女はカシスソーダ2杯でダウンした。
けど、あの時の葵…可愛かったよな。
ニコッと微笑む葵を独り占めしたくて
ついつい抱き寄せキスまでしたっけ。
……なんか、懐かしいな。
「潤くん、もう少し飲むよね?」
「あっ、あぁ」
彼女に注いで貰いながら
少し、男心が騒ぎ出す。