『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
9 想いの行方
≪潤side≫
姉貴の超特大スペシャル爆弾投下の温泉旅行から
何とか無事に帰宅した俺と葵。
あっという間に1週間が過ぎた。
出発前と現在(いま)、変わった事が1つある。
それは―――――。
「………んッ……」
相変わらず、ベッドに横になるとぐっすりの彼女。
今日も気持ち良さそうに寝入っている。
けれど、俺は……。
あのたった1泊で、俺の中の何かが壊れてしまった。
今まで“恋人代行”のバイトをして来て
沢山の女性とデートもしたし、旅行にも出掛けた。
けれど、決して……
自ら手を出した事は1度も無い。
彼女に初めてキスをした日。
仕事だとは言え、自分でもやり過ぎたと自覚している。
だから、彼女が俺の家に住むようになり
姉貴の仕業で俺の部屋で生活するようになっても
俺は決して理性を手離しはしなかった。
なのに……。