『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
あの温泉旅行の日、
彼女の可愛い笑顔と突然の行動に
思わず、俺は自ら理性を手離した。
彼女の唇は甘い媚薬そのもので、
1度触れてしまえば、
どんなに抗おうと思考を巡らせど、
波にさらわれるかの如く、
俺は彼女とのキスにのまれていた。
こんなこと、今まで1度も無い。
女性とキスをした経験など
腐るほどあるというのに……。
初めての衝動に
自分でもどうしていいのか分からない。
今も横で眠る彼女に触れたくて
こうして抱きしめずにはいられない。
そして―――――、
俺はイケナイと思いながらも
彼女の唇にそっと唇を重ねる。
それは……
俺の理性をことごとく奪い去る
魅惑的で甘美な口づけ。
何度か啄みそっと離すと
甘い吐息を漏らす彼女。
俺はその余韻に浸りながら
心地いい眠りにつく。