『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


翌朝―――――。



以前の俺なら、

彼女が起きる前にジョギングに出掛けていた。


なのに、今はその時間さえ惜しくて

こうして彼女を抱きしめ朝を迎える。



目を覚ました彼女は当然、驚き硬直する。


毎日同じ繰り返しなのに、

毎朝彼女は慌てふためく。


そんな彼女が可愛く思えて…。



俺は寝たフリをして、

さらに彼女を抱きしめる。


パニクる彼女は、

何度も俺を起こそうと名前を呼ぶが

俺は返事もせず、抱きしめ続ける。



すると、

彼女は観念したのか、

無理に起こすのが悪いと思ったのか、

大人しく俺の胸に寄り添うように。




こんな風に今日も幸せな朝を迎えていた。




そこへ―――――。



カチャッ。


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