『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「葵ちゃ~ん、朝ご飯まだ~?……ッん?!……あっ」
突然ノックもせず姉貴が入って来やがった。
「えっ!?あっ……あの、えっと……今すぐ作ります!!」
パニクる彼女。
そんな彼女に……。
「あぁ~~いい!!いいよ、うん……ゆっくり寝てて。ごゆっくり~」
嵐の如く、姉貴は笑顔で立ち去った。
………多分。
見てねぇけど、絶対、
悪魔の微笑みを浮かべてたと思う。
あぁ~これ、絶対ヤバいよな?
かなりの確率で怪しい香りがプンプンする。
俺は目を瞑ったまま、あれこれ考えていると
「じ、潤くん……あっ、あの……」
彼女は申し訳無さそうに俺を起こそうと。
はぁ……姉貴にもバレた事だしそろそろ起きるか。
俺は如何にもという雰囲気で
「……ッん……ん?…おはよ」
寝起きを装って声を掛ける。
勿論、彼女を抱きしめたまま。