『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
彼は“超”がつく程の超絶なイケメン。
私なんか、相手にされない事くらい分かってる。
亘の事もあって知り合う事は出来たけど、
本来なら、会う事さえ無いほどの
住む世界が違う人。
勉強が出来る彼は、
長い手足でスポーツも軽やかにこなす。
性格は勿論、優しくて気立てが良い。
文句なしのナイスガイ。
そんな彼と知り合えただけでも奇跡だというのに、
私ったら……そんな彼の事が……。
ダメ、ダメ……ダメ。
無理に決まってる。
イケメンは遠くから見るのが1番。
『彼氏』になんて望んだら、
きっとロクなことが無い。
最近、漸く亘もちょっかい出さなくなったっていうのに、
また、同じことを繰り返すつもり?
………分かってる。
イケメンは彼氏にするもんじゃない。
潤くんを見る度、触れる度、
自分の心に鍵をする。
また、バカみたいに…
“愛されたい”願望が
勝手に湧き起こらない為にも。