『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
土曜日の午後4時過ぎ―――。
リビングで実習レポートを作成していると、
「あっ、いた!!葵ちゃん、そろそろいいかなぁ?」
「えっ?」
「少し早いんだけど、間に合わないと先生に私が怒られるから」
アシスタントの美鈴さんが両手を合わせている。
「はい、大丈夫です。すぐ片付けますね」
私はテーブルの上を片付けて、
美鈴さんの後を追った。
すると―――――、
「とりあえず、シャワー浴びて貰える?その方が髪をセットし易いの。ごめんね?」
「あぁ、はい。大丈夫です。では、浴びたらどこへ行けば?」
「アトリエに用意してあるから、そこへ」
「はい。じゃあ、すぐ浴びて来ますね?」
私は急いでシャワーを浴びた。
楓さんとホテルで合流するのは18時。
お酒を飲むだろうからとタクシーまで手配してくれた。
お姉ちゃんは担当する作家さんのお宅から
直接ホテルに来るらしい。
私は逸る気持ちを抑えて
アトリエのドアをノックした。