『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
10 媚薬の口づけ
≪葵side≫
潤くんと共にタクシーに乗った私は
ドキドキ、ワクワクしながら
車窓から見える景色を眺めていた。
だって、反対側には……
黒いスーツをカッコ良く着こなし
長い足を優美に組んでいる潤くんが。
揺れる車内で微かに触れ合う肩と肩。
美鈴さんに掛けて貰ったファーのショールが
時より優しく頬に触れる。
ホテルに着いた私たちは、
ベージュの大理石で高級感漂うロビーへと。
すると――――、
「葵!!」
「あっ、お姉ちゃん!!」
ラウンジの入口に
黒いハーフ丈のプリーツワンピを着た姉が。
姉のもとへ潤くんと歩み寄ると、
「う~~ん!!似合ってるよ2人とも。さすが楓の見立てだねぇ~」
感心しているお姉ちゃんを良く見て、
「お姉ちゃん、私の服、場違いじゃない?」
「えっ?……そんな事ないって!!」
「そう?」
「あのっ……」