『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
2 実行
≪葵 side≫
明日はフットサルサークルの飲み会があると、二葉が情報をキャッチして来た。
フットサルサークルに亘が入っている。
っていうか、キャプテンなんだよね…。
二葉は情報通であちこちに顔が利く。
私の姉を尊敬していて、姉のすることはマネしたいらしい。
姉がマスコミ関係の仕事をしているせいもあり、将来は姉と同じ出版社に勤務したいらしい。
だからって、今から仕事みたいなマネしなくてもいいのに…。
まぁ…けど、今日みたいに助かることもあるんだけどね?
私は夕方から“恋人代行”の葛城さんと先日と同じカフェで、打ち合わせをする事になった。
店内に入ると、すぐに葛城さんを見つけられた。
だって、店員さんもお客さんも…
皆、葛城さんを見てるから………。
彼は雑誌を見ていた。
「ごめんなさい、遅くなりました」
私はテーブル脇に立ち、声を掛けた。
彼は腕時計を見て……
「いや、まだ10分あるよ。俺が早く来過ぎただけだから」
「でも……」
「まぁ、座って? 何飲む?」
「じゃあ、カフェオレで」
葛城さんはカフェオレを注文してくれた。
私はジャケットを脱いで、椅子に腰かけた。