『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
エレベーターを降りた私たちは、
物凄い人だかりの方へ歩いて行く。
………ん?
何だか雰囲気からして“レストラン”じゃない気が。
周りを見回すと、それなりに着飾った人達。
まぁ、私ほどのドレスを着た人はいないけど。
黒やグレーのスーツを着た男性陣。
フォーマルな装いの女性陣。
皆、胸元に白や赤の薔薇を付けてる。
何の集まりなのかなぁ?
私が辺りをキョロキョロしてると、
「あの、潤くん。ちょっといいかなぁ?」
「………はい」
何やら、お姉ちゃんが潤くんに耳打ちを。
何だろう……?
すると――――、
「えぇ――っ!?それ、マジですか?!」
「うっ……うん……」
「あぁ~~俺、帰ります」
「えっ?!あっ、それは困るよう」
「俺、絶対嫌ですし、ムリですから!!」
「って言われても、もうすぐ始まるし…」