『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
会場が一段とざわめき、
俺と葵に視線が向けられる。
「お姉ちゃん…」
「頑張って…」
俺は重い足取りで、
葵と共にひな壇へと。
ひな壇には、悪魔・楓が
恐ろしいほどの笑顔を浮かべ立っている。
嫌々近づき、姉貴の耳元に…
「帰ったら、覚悟しとけよ?!」
「フフッ…覚悟が必要なのはどっちかしら?」
冷笑を浮かべながら
背筋が凍るようなひと言を。
―――――覚悟が必要?
……俺に必要なのか?
今以上、覚悟が必要な事って…。
あまりの恐怖に肌が粟立った。
葵は恥ずかしいからなのか、
両手で顔を覆い、俯いている。
すると―――――、
『それでは、皆様。先ほどのストーリーの続きは気になりませんか~?』
『気になる~』
『そうですよね~。私も凄~く気になります~』
司会者の言葉の意味を辿ると……。
………まさか??!!!