『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


『潤さん?どうかされましたか?』



司会者が悪魔の手下に見える。


俺は大きく息を吸い込んで、

再び細く長い息を吐いた。



『それでは、お心の準備は宜しいですか?』



んな事はイチイチ訊くなよッ!!

俺は仕方なく、



「………はい」



会場が一瞬にして静まり返り、

俺らの足元にスタッフらしき人が

マイクを掲げて座り込んだ。


動揺を隠しきれず、狼狽している葵に…



『葵……好きだ。これからも俺のそばにいてくれ』



俺は精一杯の気持ちを口にした。

俺の言葉に驚愕の表情を浮かべた葵。

目を見開き、俺を見る。



『それでは葵さん?お返事はお決まりになりましたか~?』



司会者の声にビクッとしながらも、

俺に真剣な眼差しを向けて、



「潤くん、本気?さっきのホントの本気?」



小さく呟く彼女。


< 196 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop