『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
『潤さん?どうかされましたか?』
司会者が悪魔の手下に見える。
俺は大きく息を吸い込んで、
再び細く長い息を吐いた。
『それでは、お心の準備は宜しいですか?』
んな事はイチイチ訊くなよッ!!
俺は仕方なく、
「………はい」
会場が一瞬にして静まり返り、
俺らの足元にスタッフらしき人が
マイクを掲げて座り込んだ。
動揺を隠しきれず、狼狽している葵に…
『葵……好きだ。これからも俺のそばにいてくれ』
俺は精一杯の気持ちを口にした。
俺の言葉に驚愕の表情を浮かべた葵。
目を見開き、俺を見る。
『それでは葵さん?お返事はお決まりになりましたか~?』
司会者の声にビクッとしながらも、
俺に真剣な眼差しを向けて、
「潤くん、本気?さっきのホントの本気?」
小さく呟く彼女。