『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「ねぇ~、亘はなんでパンなのぉ?」
「ぁあ?あの女が食堂にいんだろ?」
「あっそうかぁ。まだ別れてないのぉ?」
「鈍感すぎてわかんねぇみてぇ。ここ1カ月メールも電話もほとんど無視してるから、そろそろ気付くだろ」
「ぇえ~そうなのぉ?てゆーかぁ、何であのコなワケ?」
「はぁ?結構可愛いじゃん。可愛いから告ったのに、ガードがすっげぇかてぇの」
「そうなんだぁ~」
「つーか、半年でキス5回だけだぜ?」
「うそぉ~!!亘、可哀そぉ~。私で良ければいつでもいいよぉ~」
「げっ!マジ!?今日でもOK?」
「ぜ~んぜんOKだよぉ~♪」
ドアの隙間から聞こえて来た声。
紛れも無く“彼”の声だった。
そして、彼の隣りにいる女…
甘ったるい声で彼に絡み付いてる。
彼らが言ってる“あのコ”とは私。
今まで聞いた事の無いような口調で話す彼。
初めて見る彼の姿に言葉を失った。