『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
葛城さんは上から下までじっくり見てる。
恥ずかしい……。
「すみません、コレ全部下さい」
葛城さんはそう言うと、カードを渡して傍に…
「凄く可愛いよ。素材が良いからお姫様みたいだね?」
「はい。凄く高級そうな服ですよね?…あっ、高級そうじゃ無くて高級な服ですよね?…すみません……」
「??……プッ…アハハハハッ…」
「ん?何か可笑しいですか?」
「素材が良いのは服じゃ無くて、葵さんの方だよ」
「え――――――――っ!?////////」
葛城さんはお腹を抱えて笑ってる。
そんなに笑わなくてもいいのに。
だって“素材が良い”なんて、自分の事を褒められてるなんて思ってもみないよ。
服とばっかり……。
あ―――恥ずかしい………。
「とりあえず、精算するから着替えておいで?俺は向こうで待ってるから」
「………はい」
葛城さんはメンズコーナーへと消えて行った。
私は着替えを済ませ、店員さんに一式を手渡しメンズコーナーへ。
葛城さんはジャケットを見ていた。
「買われるんですか?」
「あぁ、姉貴のカードだからね?どっちが良いかな?」
目の前に出されたのは、黒いジャケットとグレーのジャケット。
どちらもスリムなテーラージャケット。