『恋人代行 』 ① 媚薬の口づけ
「おいっ!!俺の女に何の用?」
この声!?
私はパッと目を開け、声がした方に視線を向けた。
「葵!?平気か??」
「潤くん!!」
私は咄嗟に“葛城さん”では無く、“潤くん”と叫んだ。
葛城さんは男連中を睨み付け
「失せろ!!」
男連中は舌打ちをしながら去って行った。
葛城さんは私の肩に手を掛け…
「大丈夫?何かされた?平気か?」
「だ、大丈夫…です。少し驚いただけ…です」
「ゴメン、遅くなって……」
「いえ、私が早く来過ぎたので…」
「とりあえず、ここじゃ邪魔になるから行こうか?」
「………はい」
私の手を握り、ゆっくり歩く葛城さん。
何だか少し不機嫌な様子。
「あの、ごめんなさい…」
「なんで謝るの?」
「なんでって…葛城さんに嫌な思いをさせて…」
「嫌な思いをしたのは葵だろ?」
今、“葵”って言わなかった?
“葵さん”じゃ無かったよね?