『恋人代行 』  ① 媚薬の口づけ


「じゃあ、今から家に着くまでは俺の本当の彼女って事で。OK?」

「はい、OKです」


私は指でOKポーズをした。

すると葛城さんは、急に肩を抱き寄せ…耳元で、


「葵?もう始まってるよ?自然にね?」

「………はいっ!!///////」


私は緊張でかなりぎこちない。


「ハイじゃ無くて“うん”だよ?」

「えっ?あっ、………うん」


私は照れながら答えると、


「うん。良く出来ました」


葛城さんは優しく頭を撫でてくれた。

すれ違う人の視線が私達に向けられている。

ううん、私達じゃない。

葛城さんに……。

葛城さんは周りの視線などお構い無しで、平然と歩いている。

きっと、こういう視線も毎日だと慣れちゃうんだろうなぁ。


10分ほど歩くと目的の居酒屋に到着した。

私は深呼吸して、店内へ。


サークル団体はすぐ分かった。

入って、奥のお座敷で盛り上がっている。


店内は広いワンフロア型で、中央に厨房があり、卓席は厨房を囲うように配置されている。


私と葛城さんは、入って右側の席に案内された。

店内は簡単な衝立はあるものの丸見え。

厨房から全座席が見渡せる造りになっている。


中央の厨房で、板前さんのパフォーマンスとも言える包丁さばきが名物らしい。



< 26 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop